管理職は大変な仕事です

新卒のころ、ずっと会社のデスクに向かってあれこれ言いたい放題の課長に、「好きなこと言えていいな」とか「腹たつなあ」、とか思っていた方はいらっしゃるのではないでしょうか。

そして、いざ自分が管理職になったとき、「管理職ってつらい仕事だな」と思うこともあったのではないでしょうか。そして、いろんなしがらみ、不満から会社を辞めて転職しようと考えている現職の管理職の方も少なからずいらっしゃるもの想定しています。

とはいえ、管理職として現職を退職して転職はできるのか、どんな求人があるのか見えていないし、何より管理職という立場の人間が無責任に転職するのも気が引けるという方もいらっしゃるでしょう。そもそも円満退社できるのかもわからないですよね。そこで、管理職の転職事情に関してお話をしたいと思います。

退職はそんなに難しくないが、転職は簡単ではない

管理職はまず辞めるのが大変なのではないか、と思われる方がいらっしゃるかもしれません。これは会社によりますがそんなに難しいことではありません。法的に言えば、一般の社員と同じで、退職の2週間前までに退職の旨伝えて退職届を提出法的にはOKですし、社会通念上からも1か月前であれば間違いはありません。

一般的には管理職であっても退職に際し特別なことは必要ないのです。タイミングであったり、突然「明日やめます」みたいな話でなければ、特段一般社員の退職と同じです。ただし、会社によっては、これがきっかけにトラブルになることもありますので、そのあたりの温度感は情報をしっかりさぐっておけば良いと思ってください。

問題は、転職先です。これもどれだけの期間管理職でいたか、というのが重要となりますが、管理職の転職は管理職というのが通例の流れです。プレイヤーに戻りたいのであれば長く管理職をしておかない、もしくはプレイイングマネージャーという位置づけで仕事をしなければなりません。

その理由は、管理職の場合は「管理」が仕事だからです。管理職はマネージメントが業務の大半を占めます。その就任が長くなれば長くなるほどプレイヤーとしてはみなされません。あなたが管理職として転職したいのか、プレイヤーとして成果をだしたいのかということは転職において重要な要素です。転職先で管理職として、活躍したいのか、プレイヤーとして活躍されたいのかというのは今一度しっかり考えてもらえたらよいかと思います。

管理職の求人はある?

結論から言えばあります。むしろ、30歳後半くらいからはプレイヤーの求人は減り、管理職採用の求人が増えてきます。では、どうすれば採用されるのでしょうか。ポイントは5つです。

① 数値管理能力があるか、現状把握ができるか

マネージャーの仕事は、会社から与えられた目標、仕事をやり遂げるための現状把握というのが重要な仕事となります。また、ただ管理するだけではなく、進捗管理を行う上でボトルネックを解決するためのノウハウ、解決法を配下の社員に提供できているかというのが管理職として評価の分かれ目になります。

② 育成能力

全体が目標、ミッションを完遂するためには全体的な底上げが必要となります。配下社員をしっかり育成できているかどうか、また育成するためにどのような工夫をしているかというのが求められます。

③ 人心掌握力

働くうえで、自身の配下社員が頑張ってくれないと、会社が掲げる目標を達成することはできません。人を動かすためにどのようなことをして人心掌握ができているかというのも評価のポイントとなります。

④ 実務能力

ただ管理するだけではなく、ときにはプレイヤーとして部下の仕事に入り、自身で業務を行わなければなりません。その実務能力が備わっているかというのも面接の中でみられているポイントとなります。

⑤  適応能力

また、管理職として入社するということは、会社のことを知っているほかの社員たちを押しのけて上に立つということです。加えて、会社の雰囲気などもわからないまま管理職として働くわけなので、とにかく適応能力がないと短期で辞めてしまうリスクもあります。そのあたりの適応能力というのも評価の対象となります。

このように、管理職として転職を考えた場合、求人はあります。しかし、求められるものは非常に多いのです。そのため、その転職面接をクリアするのも至難の技ですし、もしクリアしたとしても定着するのが大変だということを認識してください。中間管理職になって大変になった、転職したいと思っている方、現職で不満をもって対象を思っている方にとっては、転職したことでパラダイスに変わるわけではないということをご認識ください。

管理職の転職は安易に行ってはいけない

ある雑誌では役職者の転職者というのは大半の方が不満から転職をし、そこから失敗している人が多いということが書かれていました。結局、管理職という仕事はあらゆる能力が求められるため大変なことに変わりはないんです。しかも、新しい職場でその管理職の仕事をしなければならない訳ですから相当な負担があります。あなたの希望がすべて叶うようなバラ色の未来が待っているわけではありません。

管理職で退職、転職を考えている方にお伝えします。会社をやめて新しいことをやるにしても今の会社で仕事を続けるにしても共通しているのは覚悟です。しっかりつらいということを認識し、かつ目標をもって退職、転職を行ってください。