管理職になると給与がさがる!?

あなたが頑張って会社から管理職の昇進を言い渡されたとき、頑張った結果が報われた報われたと感じられたのではありませんか?その一方で給与明細を渡されたとき「給料が下がっている・・・」と愕然としたこともあるのではないでしょうか。

管理職になり、給料支給額が下がるというのは実は例外的な話ではありません。トヨタのような誰でも知っている会社でも起こりうる話で、むしろこういった会社の組織がしっかりしているからこそ起きる事象ともいえます。

では、なんでこのようなことが発生してしまうのでしょうか。ここでは管理職の給与から、給与の仕組み、また今後の時世の中でどのように現状が変化していくのかということをお話ししたいと思います。

管理職になって給与がさがるのは「残業代」が理由です。

では、管理職になって給与額が下がる理由とは一体何でしょうか。それは「残業代」が理由です。労働基準法という法律において、残業代は時給換算されます。その算出ロジックは「全体給与÷出勤日数÷規定労働時間×1.25」です。つまり、月給を出勤日数、1日の労働時間を割り、時給に換算し、1日の時給を算出します。算出した時給に25%上乗せたうえで残業時間分を追加で支給されるということです。

しかし、管理職はその残業代の支給対象ではありません。管理職は法律の中で「管理監督者」という位置づけになります。管理監督者とは「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な関係にある者」という定義がされており、出勤時間などに裁量があり、経営者に準ずる立場として十分な収入が得られる立場にある人がその対象になります。これは中小企業より、あなたが週刊誌でご覧になる年収ランキングに存在する企業のほうがこういう傾向がつよいかもしれません。

それは、部長や工場長といった肩書ではなく、勤務実態で決定されるのですが、実態は課長クラスの中間管理職からそれが適用されるというのが一般的です。もちろん昇進すると部長手当、課長手当といった手当てがつくためベースの収入は上がるのですが、残業代で稼げる給与体系となっていた非管理職の時代と比較すると、残業代の分で月給がマイナスとなります。

ただ、年収はというと、全体的に上がる可能性もあります。賞与ベースが昇進により上がるため、月収は下がったけど年収は上がったという方は存在します。少し複雑な話になってきましたが、管理職になり、給料が、少なくとも月収ベースは下がる可能性を有しているということです。

残業がなくなる時代の到来

しかし、この現象はそろそろ終焉を迎えます。近いうちに管理職の給与が残業代込みの非管理職の給料のほうが高くなるでしょう。なぜなら、今の安倍政権が打ち出している「働き方改革」とそれを見越した各企業の取り組みにより、残業が大幅になくなります。安倍政権は働き方改革により、各企業の残業を規制する方針を出しました。

一方各企業は、これに合わせ、今までコストがかかっていた残業代をなくすため、早帰りや会社全体として残業をなくす方針に変えてきています。ある企業は18時になると、事前申請がない限りパソコンの電源を落とす、サーバーの電源が落ちる、フロアの電気が消えるような仕組みにしました。結果、企業側は社員の残業時間が大幅に減り、残業代カットができるようになります。

これに伴い、今まで残業代ありきで働いてきた非管理職の社員の方は、残業ができなくなるため、給与明細にはこれまでより安い月給しかもらえなくなります。結果、管理職の給料が、非管理職の社員より高くなるという状況が生まれてくるでしょう。

会社に頼り切らない働き方

残業時間は制限され、今後は18時、遅くとも19時には退社時間を迎えることになるでしょう。しかし、削られた残業時間の使い方は、今後以下の3パターンとなります

① ノートパソコンを持ち帰り、カフェやカラオケボックスで残業を始める
② 自分の時間として余暇や趣味、自己啓発に使う
③ 副業をしてお金を稼ぐ

実際プレミアムフライデーが導入され、3時に仕事が終わった後、ノートパソコンを持ち帰って近くのカフェで仕事をしようと思ったら、自社の社員がほとんどを占めていたという笑えない笑い話もあるように、仕事の総量は変わらず結局仕事をしていたというのもよくある話です。

一方で、自分の仕事を時間内にやり終えて、余暇を楽しむ層、自分のために時間を使う層、そしてもう1つは副業をするという人も出てきます。

「働き方改革」においては副業も今後新たな働き方として注目される1つです。サイボウズという会社は、真っ先に社員の副業を認め、世間から注目を浴びました。

今後はただだらだら仕事をしていたら、会社に縛られ、ただただ損をしていく時代になるでしょう。効率よく、時間内で仕事を、余った時間をお金に換えるか自分への投資に替えるか自分の意志をもって選んでいく時代になります。

働くうえで、自分が自分の管理職になろう

いかがでしたでしょうか。管理職はあこがれから残業代が稼げないことから避けられる時代になりました。そして、次は残業代がもらえない、与えられた時間の中で成果を出さなければならない厳しい時代に移行していきます。そのため、時間効率を考えた働き方とあなたの給料は成果で大きく変わってくるアメリカ式の労働体系にどんどん移行していると言っていいでしょう。

そんな時代にあなたはどう時間を使いますか?会社に身を捧げお金が貰えないのに自分の身銭を切って働くのでしょうか。時間効率考えて働き、アフター5を自分のために家族のために過ごすのでしょうか。それとも余った時間で副業をするのでしょうか。時間とお金のこと、今のうちから考えてみてください。そうやって自分が自分を管理して自分のあるべき生活を描いてみてください。